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 舞台は大陸にある「昊」(こう)という国の都「晏都」(あんと)。
 中央に昊の皇帝や貴族たちが住まう宮廷が広い区画を取って作られており、
 町は碁盤の目のように区画整理してある条坊都市。


 中央の跳兎門外(ちょうともんがい)を挟んで、左街に54坊と東市、右街に54坊と西市、総計110の坊市からなる大都市である。
 その一角で、主人公は一人機織で生計を立てて暮らしている。





 昊で、ことに尊ばれる瑞獣は羽兎(うと)と呼ばれ、
 純白の毛に羽をもった兎とされている。
 次代の皇帝を見抜く目を持ち、過去四人の皇帝を選んできたという。
 そのため、昊の皇帝は世襲制だが、瑞獣・羽兎に認められなければ皇帝にふさわしい器と認められないも等しい。


 大通りが跳兎門外と呼ばれているのも宮廷に瑞獣を招き入れるためにつけられた名前と言われている。

 現皇帝は四代目だが、病床に付している。
 皇帝には二人の太子がおり、宮廷内ではどちらの太子に仕えるかで日々騒がしい。
 どちらの太子に羽兎が現れたか、噂話ばかり先行している。




  初代皇帝は毎年一度、十七歳以上が受けられる考試(こうし)という試験を行い民間の優秀な人材も積極的に登用した。


 だが、実際に高位の役職につくのは貴族で、それもほぼ家の格で決まる。
 実質の政治は宮廷の貴族たちによって執り行われているに等しい。

 そのため、有名無実と批判する知識人も多いが、考試に憧れ、
 腕を振るうことを望む青年たちも後を絶たなかった。
 ことに武人は憧れの職業の一つで、武官になることが多くの青年の目標である。





■武官■
■文官■
武官長を筆頭に、第一〜九級武官までの階級がある。
また、考試の年齢に達せず見習いをしている
級外武官という階級も存在する。
考試では武技だけでなく、筆記試験も課せられる。

武官と同じく、文官長から第一〜九級文官までの階級がある。
級外文官も存在するが、
こちらは考試受験資格を失った年齢の者が対象となる。
知識だけでなく、楽器や詩歌のたしなみが必要とされる。





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