【カガチ】
「ふふふ――」
鈴を転がしたような笑い声に被るように
細く高い金属の音が響いた。
鬼灯に似た紅の双眸。
酷薄に歪んだ薄い唇。
そして何よりもその存在を際立たせる鮮血めいた緋色の髪。
【祇王】
「……蛇妖か」
蛇たちがその足元に集まりはべる。
【カガチ】
「へえ――なんだよ、キミ。
人間に使役されてるの? ……気持ち悪い」
【カガチ】
「ボク、キミみたいな下等な妖見るのもイヤなんだ。
ね、とっとと視界から消えてくれない?」
祇王へ蔑むような視線を投げる赤い妖。
妖の足もとの蛇たちも一斉に牙を見せて嘲笑めいた威嚇をする。
【祇王】
「――言いたいことはそれだけか?」
【カガチ】
「なんだ、怒ったの? 本当のこと言っただけなのに
怒るなんて下等な種のヤツは沸点まで低いんだね」
【カガチ】
「で、消えるの? 消えないの?
さっさと決めてくれないかな」
【祇王】
「――そうじゃな。
このもやの元凶を倒してから消えるとしよう」
【カガチ】
「ふぅん」
妖の瞳が細まる。
【カガチ】
「そういえば、名乗り忘れていたね。
ボクはカガチ」
【カガチ】
「――今からキミを殺すけど、別にいいよね?」
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