高虎「落ち着いて……
落ち着いて……先輩」
沙耶「高虎……くん……」
そうしてもらっていると、心が落ち着いていく。
しばらくしたら、足の震えも止まっていた。
高虎「何か、あったんですか?」
沙耶「え?」
そう言われて、はっとした。
沙耶「あっ……」
そうか、そういう事だ。
高虎くんの顔を見る事で、安心感から気がゆるみ、
この玄関をくぐるまで内側に押し込められていた
恐怖心が、爆発してしまったと思う。
沙耶「少し……ね、
怖いことがあったの」
心配そうにわたしの顔を覗き込む高虎くん。
わたしは微笑んだ。