でも、虚空は穏やかな瞳で見つめ返してくる。
その瞳が大人びていて、胸がざわつく。
もう怒ったふりができなくなりそうだった。
そして、掴んでいたわたしの手の上に、
虚空は、自分の手を重なり合わせてきた。
沙耶「こ、虚空!?」
重なった手を虚空は握り締める。
わたしよりも少し小さい手のはずなのに、
なぜか大きく感じてしまう。
虚空「……沙耶、もう一度言ってください。
弱い、私が一歩踏み出せるように……」
沙耶「そんなの……何度だって言うよ。
虚空が好き、ずっと一緒にいたい」
ふわり、と首を傾げ虚空は優しく笑う。