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瑠狼「……どうして抵抗しない?」

やがて静かに顔を離し、熱を孕んだ声で、
瑠狼がわたしに問うた。

睫毛の先が降れる程、間近に覗き込まれる。
彼の視線から逃れる術がない。
……心の中まで、見られてしまいそうだ。

風が吹いた。

山々を渡る風が、彼の髪を揺らした。
木漏れ日に照らされた、瑠狼の姿に
胸の奥が静かに締め付けられるような気がする。