白天歴一八四年―――――
私は夢を見ていた。懐かしい夢だった。
懐かしいあの庭で、私は羽兎様と話していた。
羽兎
「残念ながら私は目が不自由になったことで導くため
の天命が淡くしか見えなくなってしまいました。
天命を見極め導くことは私では大変困難です」
羽兎
「そこで貴女に託したいと思いお願いにきたのです。
愛麗、どうか私の目の代わりとなって
天命を見極めてはいただけませんか」
愛麗
「えっ、そんなこと私には無理です。羽兎様の代わり
に導き、天命を見極めるなんて私にはできません」
羽兎
「人は私が導かなくとも天命に添い、流れていくもの
です。私はそれがどちらに流れるか見極める、それ
だけの存在」
羽兎
「特別な力も何も、私は持っておりません。次代皇帝
は私が選び終えております。貴女はただ天命を見つ
め、貴女にできることをすればよいだけ」
愛麗
「私にできることを……?」
羽兎
「貴女にしかできないことを。流れる天命を見極め、
ときに見つめ、ときに手を出し、ときに逆らい、
ときに流される。全て貴女の判断です」
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