愁は主座様の命を受け、壱人を討つために 私を伴い、伊那砂郷へと向かいました |
郷へ向かう途中で任務は壱人討伐から 壱人が利光から盗み出した物の奪還に 変更されたのですが……それは、置いておきましょう |
まさか、あの子と再会することになるとは 思いもしませんでしたよ |
二年ぶりに会った従妹をすぐおんぶできますか? 普通、できませんよね? ね? |
愁は普通から大幅にずれてますから。 貴女があの事をまだ怒っているのはわかりますが あまり愁をいじめないでください |
やだ! |
愁君、何しに伊那砂郷に行ったの? 復縁? |
壱人が利光から盗んだモノの奪還です。 さっき言ったでしょう |
へー。ほー。ふぅーん |
た、退魔を疎かにしていたわけではないですよ? |
説教タイムきた。 りんりん、ぎおたん、もっと言ったれー! |
あの子の元を離れる時、愁君が辛い思いをしたのは 知ってるよ。でも、同じくらいあの子だって…… |
ええ。わかっています。わかっているから、愁は うっじうじうっじうじ悩み続けたんですよ |
くぅたんも不満だらけだったんだねー。 なら、あの時、止めればよかったのに。 あっさり伊織の家を出ることを許しちゃうんだもん |
私は……愁と共に在ります。 その決断が多くの存在を傷つけるものでも 私は主に従うまでです |
わわっ。皆さん超殺気立ってるじゃないですかっ |
ま、退魔師っぽいことしてるのは置いといて ラブの行方について、詳細プリーズ |
話していいですか? 望に話せば、主座様にも知られてしまいますけど? |
絶対だめ |
けちー! さっきまで寝てたくせに こんな時に起きるなんてズルいぞー! |
あーあー聞こえない |
子どもか! ホントは三十路のくせに子どもか! |
子ども二人のせいで、おさらいを続けるのは 難しそうですね |
色々ありましたが、伊那砂郷の事件も解決し、 愁と貴女は一緒に暮らし始めます。 そして、今は二人で幸せに過ごしています |
再度伊那砂郷に赴くのも悪くはないでしょう。 その際、退魔の腕を磨くことを忘れてはいけませんよ。 では、またお会いしましょう |
愁君。暁のたった一人の友だちの愁君。 君は一生あのストーカーから逃げられないぞ |
他人の俺の方が、実妹の望嬢よりまだ被害は少ない |
くっ……反論できない |
暁よりイケメンで、暁より強くて、暁より性格の良い彼氏をゲットして、早くヤツから逃れねば…… そしたら、被害はぜーんぶ愁君のものだ! |
悪いが全力で邪魔させてもらうぞ |
な、なんて酷いことをするつもりだ、このイトコンは! |
……藍が冷ややかな目でこちらを見ています。 私でも背筋が凍りそうです |
ごめんなさい。さわぎません。ごめんなさい |
ら、藍ちゃん? 私は騒いでないよ。 悪いのはぜーんぶ愁君だよ! もしくは暁だよ! |
一部始終見てたから、信じない? ……あはは、私の今日の予定、藍ちゃんのお説教で つぶれるのか~あははははははは |
下手に誤魔化そうとするから、より怒られるのですよ。 愁は何を言っても、許してはもらえませんけど |