沙耶
「アルバム? 見てもいいの?」
高虎
「ええ。一緒に見て下さい」
アルバムの一ページ目には少し幼い高虎くんと高虎く
んとよく似た男の人の写真があった。
沙耶
「お兄さんだね」
高虎
「はい。貴重な兄との写真です」
沙耶
「お兄さん、撮られるのが苦手だったの?」
高虎
「いえ、兄さんはもっぱら撮る側だったので
一緒に写った写真が少ないんです」
沙耶
「うちは愁ちゃんがカメラの扱いが下手だからいつも
虚空が撮ってくれてたっけ」
高虎
「うちも同じような理由ですよ」
高虎
「親も姉たちも精密機械と相性が悪いので兄さんが
撮るしかない状況が出来上がったというわけです」
高虎
「兄さんも写真を撮ることは好きだったから
別に不満はないようでしたけど」
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