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千世
「どうして」
翠
「ん?」
千世
「どうして、そんなにつらそうに笑うんですか?」
翠
「そんな顔してた? つらい。つらいか……」
翠
「そんな顔しないで。俺より君の方がよっぽど
つらそうな顔しているよ」
手が伸びてきて、少し冷たい指が頬に触れる。
翠
「俺を想って悲しまないで」
翡翠の瞳は真っ直ぐに私を見つめて。
翠
「俺のために泣いてくれるより、
俺のために笑ってくれる方が嬉しいな」
翠
「……勝手なこと言ってごめん」
頬から指が離れる。
千世
「っ――」
その指をとっさに掴んでいた。
千世
(何か、言わなきゃ……でも、言葉が浮かばない)
翠
「……こんな風に手を握り合ったことがあったね」
静かな声に、記憶が呼び覚まされる。
それは、遠い昔のこと。
初めて翠に出会った日の――。