女性向け伝奇アドベンチャー　『神足町人妖譚　～迷イ子ノ章～』

千世
「それにしても石窯で手作りピザって
　本格的ですね」

耀
「日本の宅配ピザって世界一高いからな。
　あんなボッタクリに金払いたくないってさ。
　うちの所長、妙な所がケチなんだよなぁ」

耀
「まぁ美味いナンが焼けるから石窯があるのは
　大歓迎だけど」

翠
「判断基準はカレーなのか……」

千世
「ナンって食べたことがないです」

耀
「なら今度作ろうか。
　お兄ちゃん特製バターチキンカレーは
　ナンと食べると絶品だぞー」

千世
「でも、迷惑じゃないですか？」

耀
「全然。料理作るの好きだし。
　ストレス発散になるから気にするな」

翠
「ストレスを感じるような神経を持っていたのか」

耀
「マンボウ並の繊細さを持つ俺に対して失礼な」

翠
「マンボウは可愛い。耀は可愛くない。
　同列に語るな」

耀
（なぁ、マンボウって可愛いか？）

千世
（ええっと……こ、好みは人それぞれかと）

耀
「なぁ翠。マンボウ並に可愛い動物言ってみ？」

翠
「ハシビロコウ」

耀
「辞書で可愛いを調べて、
　そのあと百回書き取りしろ」

翠
「ハシビロコウが可愛くないって言うのか？
　……鋭可愛いのに」

耀
「日本語が新しすぎて、ついていけない」

千世
（マンボウは何可愛いなんだろう……）